〈濃厚エキス 色も楽しむ〉
 新年度、このコーナーに登場するシェフら4人の顔ぶれが変わる。初回を飾るのは、ミシュラン二つ星の評価を得ているスペイン料理シェフの本多誠一さん。スペインの国民食とも言える「アサリのサルサベルデ」を教わった。(生活部 板東玲子)
          ◇
 サルサベルデとは、緑色のソースのこと。フライパンでふっくらと加熱したアサリと、スナップエンドウ、刻んだイタリアンパセリがたっぷり入った緑のソースが作り出す、春らしいひと皿だ。
 本多さんは、「美食の街」として世界的に有名なスペイン北部バスク地方のサンセバスチャンで4年間修業した。「初めて覚えた料理の一つがこれなんです」と振り返る。
 バスク料理は色彩の豊かさが特徴。イタリアンパセリの緑、トマトの赤、イカスミの黒、オリーブ油がスープなどと混ざって出来る乳白色がよく使われる。「今回は、イタリアンパセリの緑とスープの乳白色の2色を楽しめるメニュー。スペイン人なら必ず食べたことのある料理です」
 たっぷりのオリーブ油に、刻んだニンニクとタカノツメを入れ、いためてうまみを引き出す。ニンニクが色付かないよう、弱火でゆっくり加熱するのがポイントだ。アサリを入れたら、とろみを付けるため、小麦粉をダマにならないよう数回に分けて加える。「アサリは味が乗りにくい食材。とろみを付け、味が絡むようにします」
 本場では魚のスープで煮るが、今回はスナップエンドウを下ゆでした時のゆで汁を使う。「スナップエンドウからはおいしいだしが出る。アスパラを使ってもいいですね」。みじん切りにしたイタリアンパセリをふれば完成だ。
 アサリの弾力とスナップエンドウの食感が楽しい。乳白色のスープはアサリのエキスが濃厚で、パンを浸して食べたくなるほどだった。(撮影・宮崎真)

材料

2人分
 アサリ300g/スナップエンドウ80g/イタリアンパセリ(パセリでも可)少々/小麦粉大さじ1杯/白ワイン35cc/オリーブ油大さじ2杯/ニンニク、タカノツメ各少々

作り方

アサリは砂抜きし、こすり洗いをする。スナップエンドウは筋を除き、塩ひとつまみを入れた300ccの熱湯で5分ほどゆでる。冷水に取り、粗熱が取れたらザルに上げる。ゆで汁は取っておく。

フライパンにオリーブ油、みじん切りにしたニンニク、種を除いて輪切りにしたタカノツメを入れ、弱火にかける。良い香りがしてきたら、アサリを加えて軽く混ぜる。空いたところに小麦粉の1/4量を入れ、全体を混ぜる。同様に残りの小麦粉を3度に分けて加え、混ぜる。

白ワインを入れ、ひと煮立ちさせる。小麦粉がダマにならないよう、軽く混ぜる。スナップエンドウのゆで汁150ccを加え、アサリが開くのを待つ。味を確認しながら塩、コショウ各少々で調味する。

刻んだイタリアンパセリを全体にふりかけ、皿に盛る。半分に切ったスナップエンドウを飾る。

パセリ香る トマトサラダ
 残りがちなイタリアンパセリを使い、トマトサラダを。ニンニクを切り、断面をボウルの内側にこすりつける。乱切りしたトマト1個分、薄切りにして水にさらしたタマネギ少々をボウルに入れる。シェリービネガー(赤ワインビネガーも可)とオリーブ油を1対5の割合で加え、塩、コショウで調味。はさみでパセリを切ってまぶすと、いい香りが広がる。

本多誠一さん(スペイン料理シェフ)
 東京・銀座のスペイン料理店「スリオラ」のオーナーシェフ、本多誠一さんは1976年、千葉県生まれ。実家が鮮魚店で幼い頃から食関係の仕事に興味を抱いた。フレンチの道を志し、渡仏。約5年修業したが、旅行で訪れたスペイン・バスク地方で食材の豊かさや料理のおいしさに感動し、スペインで4年学んだ。
 洗練された美しい料理が評判を呼び、「ミシュランガイド東京2015」以降、連続して二つ星の評価を得ている。「スペイン料理の多様な魅力をお伝えできたら」と話す。

あなたへのおすすめ記事