〈ネタは野菜 力強い味〉
新緑の季節。野菜料理家の庄司いずみさんが、鮮やかな緑色の野菜を使った「グリルアスパラの三色カップずし」を作ってくれた。抹茶などで酢飯にも彩りを加え、カラフルな一品に仕上げた。(生活部 林理恵)
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「すしは和食の代表格ですが、魚介の扱いはハードルが高い。その点、野菜を使ったすしならとても手軽に作れますよ」と庄司さんはいう。
今回使うのは、グリーンアスパラガスとソラマメ、グリーンピース。ネタが野菜だけだと淡泊になりがちだが、味わいにボリューム感を出すために油分やうまみの濃い塩こうじなどを足し、野菜に力強さを持たせるのが庄司流だ。
野菜は焼いてから使う。アスパラガスはグリルパンでこんがりと焼く。生っぽさが残ると酢飯に合わないため、しっかりと焦げ目がつくまで焼くのがポイント。ソラマメとグリーンピースはさやごとグリルパンで加熱する。「蒸し焼きのような状態になり、豆のうまみが増します」
淡泊な味わいのソラマメには塩とゴマ油でボリューム感を出し、淡い香りのグリーンピースは塩こうじとニンニクでこくやうまみを足す。食材ごとに調味料を変えるのは「味に飽きないように」という、庄司さんの工夫だ。
今回は、手軽に食べられるようプラスチックカップに盛りつける。酢飯は3等分してトマトペースト、抹茶パウダー、ターメリックを混ぜた。見た目が華やかで楽しい雰囲気になるだけでなく、風味が増して野菜との相性もよくなるという。カップにふんわりとよそって3層にしたら、野菜を飾る。
カップの奥までスプーンを入れて食べてみた。すしのネタになった野菜たちは、元来の味わいに力強さが加わり、食べ応え十分。ベランダやテラスに持ち出して、ピクニック気分で味わいたくなった。(撮影・米田育広)