〈香草挟み徐々に加熱〉

 家にいる時間が増えると、じっくりと料理に取り組みたくなる。イタリア料理シェフの鈴木弥平さんに相談すると、「豚肩ロース肉のポルケッタ」を教えてくれた。渦巻き模様がかわいい、ボリュームのあるひと皿だ。(生活部 木引美穂)
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 ポルケッタは、イタリア中部に伝わる豚の丸焼き料理だ。内臓を除き、中にスパイスやハーブ、塩などを塗ってじっくりと焼く。今もお祭りの時などに食べられる。「イタリア版ローストポーク。豚肩ロース肉の塊肉を使えば、家庭でも伝統料理の雰囲気を楽しめます」
 肉は1枚肉になるよう、切り開いてから使うのがポイント。まず中央に軽く切り込みを入れて肉を広げ、さらに中央から包丁を寝かすようにして左右に切り込みを入れ観音開きにする。脂は切り取る。
 肉を香りよく焼くため、鈴木さんが用意したのは生のローズマリーとパセリ。葉を細かく刻み、ニンニクとレモンの皮を加えてから肉全体に広げる。ロールケーキを作るように肉を端から巻く。途中、切り取った脂も一緒に巻き込み、たこ糸で縛る。
 オーブンでの加熱法もユニークだ。鈴木さんは20分加熱したら取り出し、アルミホイルで包んで20分休ませる作業を計3回繰り返した。「一気に加熱すると表面が硬くなる。ゆっくりと熱を加えることで肉の余分な脂が落ちて、しっとりと仕上がります」。休ませる時間は長くなってもいい。徐々に肉に熱を通していくのがプロの技だ。
 たこ糸を解き、食べやすく切って皿に盛る。隣には相性のいいフライドポテトを添えた。
 豚肉を口に運ぶとしっとりと軟らかく、ハーブとレモンのさわやかな香りが鼻に抜ける。冷めてもおいしいという。週末の時間を使って挑戦してみようと思った。(撮影・米田育広)

材料

2~3人分

豚肩ロース肉(塊)500g
ニンニク1と1/2かけ
ローズマリー(生)5本
パセリ(同)20g
レモン1/4個
ジャガイモ5~6個
オリーブ油適量

作り方

ニンニク1/2かけ、ローズマリー2本分の葉、パセリの葉、レモンの皮の黄色い部分をそれぞれみじん切りにして合わせる。

肉は観音開きにする。まず、中央に切り込みを入れて肉を広げる。さらに中央から左右に切り込みを入れて開く。脂は切り取る。手でたたいて平らにし、塩、コショウ適量をふり、全体に〈1〉を広げる。

〈2〉を端から巻く。途中で脂も巻き込み、たこ糸で縛る。

180度に予熱したオーブンで〈3〉を20分焼き、いったん取り出す。アルミホイルで包んで20分休ませる。同じ作業をさらに2回繰り返す。

ジャガイモは皮付きのままゆで、一口大に切る。フライパンにジャガイモがつかる程度のオリーブ油とニンニク1かけを入れ、点火する。香りが出てきたらジャガイモとローズマリー3本を入れる。ニンニクとローズマリーは焦げる前に取り出す。ジャガイモの表面がカリッとしたら引きあげ、塩をふる。

皿に〈5〉のニンニク、ローズマリー、ポテト、食べやすく切った〈4〉を盛りつける。

〈フライドポテト チーズのせ焼く〉

 付け合わせのフライドポテトを多めに作ってアレンジ料理を。耐熱容器にポテトを入れる。少しつぶしながらでもいい。その上にブルーチーズとパルメザンチーズをのせ、チーズが溶けるまでオーブンで焼く。チーズの塩気とうま味がポテトにからんでおいしい。鈴木さんは「冷めたポテトでも作れます。ワインのおつまみにどうぞ」と、にっこり笑った。

鈴木 弥平さん(イタリア料理シェフ)

 イタリア料理店「ピアットスズキ」(東京・麻布十番)のオーナーシェフ鈴木さんは、毎年この時期、イタリアを訪ねて修業した街など各地を巡るのが恒例だ。新たなものを吸収するためというより、自身の原点に立ち戻り、気持ちをリセットするのが目的だという。
 今年は新型コロナウイルスの影響で渡航はかなわないが、「その分ゆっくりと自分自身を振り返るいい機会。年齢を重ねて変わった部分と、修業時代の気持ち、両方を再確認してこれからの料理に生かしたい」と話す。

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